概要
日本画家・大橋翠石(1865〜1945)は、日本美術史の中でも特異な存在です。
オリンピックと同様、国際社会での交流の場であった万国博覧会で、明治33(1900)年のパリ万国博覧会で、日本人画家として唯一の金メダル(金牌)に輝き、4年後のセントルイス万国博覧会でも連続して金メダルを受賞した翠石は、当時、世界で最も高く評価された日本画家だったのです。
しかし、翠石は療養のため、そして何よりも内向的な性格のために、神戸の須磨に隠棲し、動物たちを友としながら、たった一人で自分の芸術を追求し続けました。
生涯を通じて画壇と無縁で過ごした彼の芸術は、ほとんど今までの美術館では注目されず、その名も、芸術も、今や知る人は少なくなりつつあります。
セントルイス万博で来場者を魅了し、「私はきっと、その虎の絵を忘れることができない」とアメリカ人を感動させ、現代の日本でも次々とコレクターが現れている、知られざる、しかし昔も今も高い人気を誇る画家、大橋翠石。
その全貌が今、本図録で明らかになります。
サイズ
H:282mm W:213mm
2020/09/14